作画は安定感のある猿渡哲也という点でも手に取りやすかった。
そして読んでみると長崎尚志らしい内容で聞いたことの無い武術の名や、マニアックな武器の性能、さらに国際情勢などの裏話。
どれも、マスターキートンを彷彿とさせる内容で非常に面白かった。
ZIG あらすじ
香港で銀行の警備員をしている桐生甚吾は、元自衛官で特殊作戦群の出身という経歴の持ち主。ある日、銀行に強盗団が現れるが大型金庫には目もくれず、貸金庫内を物色して立ち去っていった。彼らの正体は、中国諜報部と契約したプロ集団。国家間の争いに、桐生は巻き込まれていくが…!?
集英社マンガネットより引用
作品情報
作画・猿渡哲也
高校鉄拳伝タフなどの作者。青年誌での連載が主戦場で画力は文句なしに上手い。格闘シーンの描写もリアル。個人的にはプロレス体型の男を描く大会があればきっと優勝は猿渡哲也だと思う。まぁそんな大会はないのだが・・
原作・長崎尚志
私が浦沢直樹作品で一番好きなマスター・キートンの脚本担当。
他の名義(リチャード・ウー、その他色々)でもたくさんの作品にかかわっている。
また小説も手がけている。
感想
マスター・キートンの好きな人間なら絶対にオススメ。
格闘、犯罪、武器、国際情勢に国際問題がこのマンガ1冊に盛りだくさんといった感じだった。
マスターキートンの一つのエピソードを1冊分に膨らましたような感じと言えばいいだろうか。
今思えばあの頃はまだネット社会には一般社会は馴染みの薄い頃だった。
このZIGでは当然、通信の環境は進化しており、あの頃以上の世界の組織間のやり取りが行われている。
物語の舞台は香港、国連刑事部に中国諜報部にMI6の思惑の絡みあうストーリー。
よくもまぁこんな入り組んだ設定を思いつくものだなと思う内容。
さらに主人公は日本の自衛隊からフランス外国人部隊、そしてある事があって現在は香港の銀行の警備員と不思議な経歴の持ち主。
そして、マスター・キートンにもあった身近なものを活用して武器を活かすような知識も盛り込まれている。
まさに長崎尚志の本領発揮といった漫画だ。
さらに格闘シーンでは猿渡哲也らしい細かい所まで書き込まれた描写とファンにはたまらない内容だった。
こちらの集英社の公式サイトで数ページ読めるが、この数ページだけで世界観は伝わると思う。
マトメ
つい長崎尚志の話にそれそうになるがそれはまた別に記事にしたいと思う。
読後感は一個おもしろい映画を見た後の様でもあった。
なかなか普通の連載漫画では味わえない読後感だと思う。
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