漫画版【オシリスの天秤】超微力なヒットマンが華麗だ。

私はアニメが嫌いなわけではないが、漫画に比べると、なんやかんやで時間がかかってしまうのであまり見ていない。

そのせいでアニメの名作を見ていない事が多いのだがオシリスの天秤もその一つだったのかもしれない。

2015年から1話5分・1話完結の短編アニメとして地上波でもされていたそうだ。

ちなみにこんな感じのアニメだったようだ。

短すぎて面白いのか正直判断が付かないが評判は良いらしい。

さて私が読んだ漫画版だが、こちらもサクサクと読め、ダークな部分も良く描けていて良かった。

ではちょっと紹介していこう。

オシリスの天秤のあらすじ

 

彼はある事情から体の左側の臓器がほとんどない。
そのため体が弱く、体術はもちろん銃も扱えず、
およそ暗殺者としての資質からほど遠い。
しかし特殊能力が彼を特別な暗殺者たらしめている。
それは、コップの中の水に少し波紋を起せる程度の微細なサイコキネシス。
この能力により、ターゲットの脳を破壊し相手を脳死に至らしめるのだった……。
これは彼の孤独な戦いの物語。

AMAZONより引用

あらすじの補足

基本的に暗殺者だがヒットマンとしての仕事は隠れる事もなくターゲットと直接対面し会話を通して人間的に向き合い殺すべき人間か否かを判断する。

至ってクールで対象に対しては人間的な部分は見せない事が殆ど。

その中での主人公の過去を少しずつ明らかになっていく。

そして明らかになるに連れて、主人公の孤独は浮き彫りになっていくといった内容。

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オシリスの天秤の解説と中身

いきなり余談の様になってしまうが、オシリスとはエジプト神話の神の一人で冥界の王様。

神であるオシリスは冥界にて死者を裁く事は指名だったようだ。

この漫画の主人公は生きているものターゲットの生死を己の天秤にかける事でストーリーが成り立っている。

 

あと、この漫画は主人公の名前が決まっていない。

名無しの主人公設定は珍しいと思う。

しかし、その設定が殺し屋としての仕事と主人公の妙な冷静さを醸し出している。

ヒットマンとしてはありえないくらいの弱さだ。

唯一の武器となる特殊能力(サイコキネシス)なのだがその力は蜘蛛の糸を切れるくらい。

オシリスの天秤より

さて、そんな蜘蛛の糸を切るくらいの力で何ができるのか?

この部分がストーリーを飛躍的に面白くする要因の一つになるのだが、ヒットマンの彼はその微力な力で、脳を一部を少しの力で断ち切るだけ。

他に出来る事は何もない。

細かく言えば、完全に生命を断ち切るヒットマンでは無く、脳死状態にするという訳だ。

そして、その脳死状態になった臓器を移植待ちの人々に提供する。

それが彼の仕事であり殺人者と己の存在のバランスを取っている部分だと思う。

 

この漫画のおもしろい所は、主人公に一切の強さが無い所だ。(サイコキネシス以外は)

少し青臭さの残る人間性は殺しの対象を必死に観察する。

殺すべき人間か生かすべき人間かを見極めるのだ。その為にターゲットとの会話とう心理戦も存在するのだが、その中に色々なストーリーが盛り込まれている。

ちなみにターゲットごとにストーリーが進むので読みやすかった。

救いようのないクズのターゲットもいれば、家族思いのヤク中、レクター博士っぽい大学教授までとミステリー好きには堪らないキャラ設定だと思う。

オシリスの天秤より ターゲットにはこんな奴もいる

こんな人は好きかもしれない

なんと言っても苦悩する主人公の話は漫画界には多い。

エヴァにガンダム、寄生獣に東京グールあたりが好きな人には読みやすい漫画だと思う。

 

絵柄は正直上手いとは思わないが、読むには十分で表情などはよく描けていて良かった。

狂気じみたターゲット、自らの存在に悩むターゲットとどれもキャラとして立っていて読みやすい仕上がりだと思う。

マトメ

私はヒットマンが主人公になった漫画には好きなモノが多いが、読み出す前は期待してなかったから余計に面白かった。

殺し屋1や能條純一の翔丸 も好きだが、この漫画は仕事の内容の趣向が違っていて面白かった。