作者は板垣巴留(ぱる)という新人さんで女性らしい。
チャンピオンで板垣と言えば、今や巨匠と読んでいいだろうグラップラー刃牙の作者・板垣恵介を思い出す。
で、ふと調べてみると、公式に発表されたわけでは何と!実の娘との噂が・・・
という訳で巨匠の娘という色眼鏡をかけた状態で読み出したが文句無しに面白かった。
最近では二世漫画家もちょくちょく出てくるが、政治や芸能界などよりも漫画は実力がなければ自然淘汰(打ち切り)が待っているので、そこまで二世というモノを意識しなくてもいいのかもしれない。
二世と言えばこのブログでも取り上げた王様達のヴァイキングも二世作家であるが内容は練られていて画風も見やすくて良い作品である。
で、このBEASTARS(ビースターズ)も二世云々いう必要もなく、すでに2018年のマンガ大賞受賞作であり面白さを認められている。
こちらは作家本人のTwitter。受賞の時はこんな感じだったようだ。
手塚治虫文化賞、板垣巴留さんらにアトム像贈呈 https://t.co/BGtVjfPwvn
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) 2018年6月7日
BEASTARS(ビースターズ)の簡単なあらすじ
肉食獣と草食獣が共存する世界。そこには、希望も恋も不安もいっぱいあるんだ。チェリートン学園の演劇部員レゴシは、狼なのにとっても繊細。そんな彼が多くの動物たちと青春していく動物群像劇が始まる!!
販売サイトより引用
あらすじの補足
なにか動物たちが学園生活というとほのぼのした、幼児向けのどこぞの教材のようなモノを想像してしまいそうだが全くそんな事はない。
特に生態は大きく二樹類に分かれていて
- 肉食系
- 草食系
読んで字の如く、肉を喰らう動物と草を食べる動物の二種類が一つの学校で生活を送る。
肉食・草食の食性を、それぞれ登場人物達はそれぞれ自覚しているが、描かれている社会ではすでに過去の習性であり、動物たちは我々人間と変わらない生活を送っている。
種を超えた恋愛もあれば肉体関係さえもある。
が、最終的に行き着く所は同種と結ばれなければ子孫の反映も無くなってしまうので、基本的には同種間での結婚が定められている。
そんな社会で主人公のレゴシは、明るく気丈なウサギ(性に開放的でも有る)のハルに恋をするのだが・・
BEASTARS(ビースターズ)の感想など
全体を通して、動物の擬人化モノとしては、ほのぼの感はあんまりないと言っていいだろう。
このあたり手塚治虫の鳥人大系を思い出すような陰鬱な感じも有る。
が、基本は学園モノとして描かれているので、青春の甘酸っぱさや、思春期特有の悩みのようなモノが上手に描かれている。
そして、この作品の特徴である、動物の種としての特徴や生態に絡んだ煩わしさも描かれており、この部分がこの漫画の特に特徴的な部分である。
この部分は、作品にある意味ただの青春モノではない何かドス黒い闇を落とす部分でもあり、主人公のレゴシは、基本的に気の優しいオオカミ。
で、あるが基本はやっぱり肉食。
漫画の中では心の深い部分で食べてしまいたいという欲求が描写される。
これが、もしも人間であればカニバリズムのような異様な猟奇性として処理されてしまう。
しかし、この漫画の面白い所は、その人間であれば精神異常であるとも言える闇を動物に置き換え、恋を絡め、青春を過ごしながら主人公が色々な事を苦悩する部分にあると思う。
序盤では、食べたいくらい好きなのか?食べたいから好きなのか?という心の悩みと、実際に学園では、その食の禁を犯してしまった事件も有り主人公のレゴシを巻き込みストーリーは展開する。
こういう部分の設定は、思いつきなのか、考えたすえなのか、私は手放しでおもしろいと思える部分である。
まとめ
ちょっと動物モノとはいい難い内容だし、ファンタジーと言うほど夢があるわけではない不思議な設定の漫画BEASTARS(ビースターズ)。
強いて言えば動物擬人化学園モノだろうか?
先にも書いたが、決して二世漫画家が親の威光を使っているようなモノでは無いので是非読んでみる事をオススメしたい。