アニメの一休さんとは違う、大人の?一休宗純の逸話は、よくTVで紹介される。
よく言われるエピソードでは、ドクロを杖に指して街を歩いた、腰に挿した日本刀が抜けば竹光だったとか、娼婦を買っていた、など。
しかしこれらのエピソードは全て一休が禅的に大悟(大悟:意味としては、はっきりと理解すること)した後のエピソード。
そこに至るまでの苦悩や迷いなどはほぼ紹介される事は無いだろう。
この苦悩と迷いからの一休の姿を素晴らしく描かれた漫画、それが、あっかんべェ一休だ。
あっかんべェ一休を読む前に・・
あっかんべェ一休を読む間に簡単に作者の説明と、一休の生きた時代背景を知っておくとより理解が深まると思う。
作者は坂口尚
この作者、49歳の若さで亡くなっている。
個人的に言わせてもらえばこの若さで亡くなってしまったのは日本の損失ともいえる程の漫画家だと思う。
Wikipediaにも書かれているが手塚治虫の後継者と目される程の漫画家だった。
絵柄は見やすく、人間性の描写が優れている作品が多い。
私はこの、(あっかんべェ一休)と(石の花)が坂口尚の最高傑作だと思っている。石の花(1)侵攻編 (講談社漫画文庫)
惜しむらくは、漫画家としての活躍はアニメの仕事も多くしていることもあり、さらに寿命のせいもあって短い。
作品の数は多い方では無いのかもしれないが、彼の作品はどれも人間の本質に迫るものが多く、人生の折々に読むと心に響くモノばかりだ。
作品の時代背景
室町時代の話。この時代を細かく説明するとキリがないので簡単に言ってしまえば、とにかく戦争。
あのアニメ一休さんにも出てきた将軍様・足利義満が亡き後の応仁の乱などもう誰と誰が何の為に戦っているのか分からないくらいの状態。
そして、他に、この時代の説明としてwikipediaに分かりやすい文章があったので引用しておこう。
室町時代は、鎌倉時代以前には見られない出自不明の農民・商人層の社会進出を可能とし、日本史上初めて顔が見える民衆を登場させた時代でもある。旧勢力の没落と新勢力の興隆の時代として捉えることができる
つまり世に発言力や影響力のある庶民が日本史に出てきたという事とも言える。
これは芸能などの面でもいえる事で作品の中でも世阿弥、観阿弥が登場してストーリーをより重厚に仕立てている。
こんな人におすすめ
単純に一休の事を知りたい人にはもちろんオススメの一冊。漫画的に面白い事に加え何よりも一休の苦悩や人間性が伝わってきて良いと思う。
さらに一休に関して深く知りたいと思ったら水上勉の一休を読むと良いと思う。
また禅について知りたいという人には少し一休自身の禅の解釈は癖が強いので少し禅のイメージとは違ってくるかもしれない。
仏教の心理そのモノに触れてみたいという人には非常に良いと思うのだが。
また、人生に疲れている人にも良い。素直に読めればこれほど心への良薬もないかも知れない。
ただ一休の真似をすればたちまち社会不適合者だが・・しかし間違ってはいないと思う。
あと疲れていなくても、何か閉塞感の中で生きている人にも良いと思う。人生の視野が広がると思うのでそんな人にもオススメ。
まとめ
簡単にではあるが私の好きな漫画、あっかんべェ一休をオススメしてみた。
伝わりきらぬ部分もあるかもしれないが、間違いなく名作なので読んで欲しい。
私自身はふと手にとった漫画なのだが、一気に作者もファンになり読み漁った過去がある。
他の作品もいつか紹介したいと思っている。