(2018/3/20更新・祝アニメ化決定)
予備知識無しで読んだ方が面白い漫画は絶対にある。
三宅乱丈のペットは絶対にそういう漫画である。
今思えば、三宅乱丈が現在連載中の漫画イムリ。
このイムリの中の設定にある、人の精神を操作するというサイキックな面はすでに三宅乱丈はPETで完成していたもの。
イムリを知らない方はコチラの記事をドウゾ
ちなみにイムリの世界観はファンタジー要素満載の異世界が舞台だがペットは現実世界の日本が舞台。
携帯電話の形状などから察するに時代設定は2000年代だと思う。
全5巻と読みやすいボリュームでありながら読み応えとしては、それ以上の巻数を読んだ気にさせられる重厚な内容になっている。
漫画ペットのあらすじ
なるべくネタバレしたくない漫画なので簡単なあらすじをまずは紹介。
他人の意識に侵入し、記憶の変更・消去を自在に操作できる特殊能力を持つ、「ペット」と呼ばれる少年達がいた!
中国人マフィアに管理・利用され、非常な任務を強いられるペット達を救おうと、彼らのブリーダーが組織を脱走するが!?
過酷な運命に翻弄される異能の少年達を描くサイキックアクション!!
一巻表紙のあらすじより
漫画ペットの世界観と設定について
ヤマとタニの説明を少しだけ。
ヤマは人間の記憶の中で最も美しいもしくは良い思い出と考えて良い。
タニは最も辛いモノ、恐怖した記憶の部分。
このペット(潰し屋と呼ばれている)は他人の記憶のタニとヤマの部分に、自らのイメージ(扉や魚など)を用いて侵入することが出来る。
そして、その記憶を操作することで、その人間を内面から壊したり、操作する事も出来る。
仕事の殆どはヤマを崩壊させてしまう事だが、うまく活用する事で記憶のすり替えなども可能。
つまり、いかに組織にとって都合の良いに変えてしまうかが仕事である。
ペットの登場人物
主な登場人物の紹介
ヒロキ
物語の軸となるキャラクターで、司と共に行動し潰し屋として活動。
シンクロ時に使うイメージはキレイな魚。
自らが魚になり相手の記憶の中に飛び込んでいく。
司
ヒロキの保護者的立場でもある。そしてヒロキのヤマ親。
シンクロ時に使うイメージは水。
(ヤマ親とは記憶も人格さえも表に出ていない空っぽとも思える人間の精神にシンクロして自分のヤマのイメージを与える人物の事。)
イメージの水は浸水するイメージで相手の記憶に入っていくといった所である。
悟
子供の時に才能を発見され組織に入れられ潰し屋として育てられる。
シンクロ時に使うイメージは扉。
扉のイメージは侵入の速度も早く便利。
ネタ元はどこでもドア。ただし調子が悪いと鍵がかかっていたりする事もあり本人のメンタルも重要??
ハヤシ
司と悟のヤマ親でも有り、組織から離れ、他の潰し屋のメンバーを救うために画策している人物。
このストーリーの根底部分。
自分以外のペット達の未来を案じている。
また、登場人物のほとんどのヤマは彼が分け与えたイメージ。
使うイメージは風。
桂木
組織の古株で使い走り的な人物。正確は陰湿でヘビースモーカー。
イメージは使えないが、催眠術の利用は出来る。
いかにも組織の人間と印象ではあるが・・・
ペットのここが凄い!
おそらく読み出すと少しだけ頭が混乱しそうな設定。しかしストーリーを読み進めていくと簡単に理解出来る。
あと、伏線の貼り方が見事で、私は三宅乱丈のデビュー作ぶっせんの後に読んだので、こんな複雑でシリアスでスリリングなストーリーを作り込める人間だとは思っても無かった。
他人とシンクロして記憶に入り込む設定は割りとよくある設定だが(久しぶりに読み返すと映画、ザ・セルを思い出した。)、その導入方にキャラそれぞれのイメージを用いる所はすごく良いと思う。
そして人間関係の描写がただただ切ない部分も多い。
ヤマを分けてもらい同じヤマを持つ潰し屋達は家族以上の信頼関係が成り立っている。
その関係性と利用する組織との間の葛藤の描き方は流石!としか言いようのないものだ。
さらに終盤には見事な怒涛の伏線回収が待っている。
ぜひとも読んで欲しい漫画だ。
あと三宅乱丈の漫画を読みたいのならスキマがアプリは超オススメである。
デビュー作の【ぶっせん】は課金しないと読むことはできないが、簡単な登録で【王様ランチ】【ユーレイ窓】【秘密の新撰組】の3タイトルがチケット制で全て無料で読む事が出来る。(月額480円で3タイトル一気に読み干してしまったけど)
特に秘密の新撰組はペットやイムリとは違った意味で設定が秀逸でかなりのオススメだ。
まとめ
読むなら絶対に連載終了後に、徹底的な改稿と150ページ以上の描き下ろしによる「完全リマスター化」された、ペットリマスター版が絶対にオススメだ。
とにかく読んでみて欲しい。