普段、グルメ漫画はあまり読まない私。
料理は一人暮らしが長かったせいもあって多少はできるが決して得意ではない。
しかしこの空挺ドラゴンズを読んでいると何だか料理をしたくなる。
しかもちょっとこだわりのある料理が・・。
原因はこの漫画に出てくるレシピ解説。
肉は龍の肉でありもしない料理なのに全て美味そうだ。
どれも龍の肉でなく牛・豚・鶏で試してもきっと美味いんだろうなと思わせる内容。
そのあたりに作者の細かさが光る内容の漫画だ。
空挺ドラゴンズのあらすじ
龍を追って、世界の空を往く捕龍船『クィン・ザザ号』。大物を捕まえれば一獲千金、獲りたての肉も食べ放題。でも、失敗したらもちろんお陀仏。空と龍に魅せられた乗組員たちの大冒険の旅&世界グルメ紀行!
公式サイトより引用
作品解説
あらすじが短すぎないか?となりそうだが、あらすじだけ言えば確かにこの短さになってしまう。
しかし内容が薄いというだけではなく作者の世界観のファンタジー感に浸れれば、楽しめる漫画。
連載雑誌はアフタヌーン。
作者は桑原太矩(くわばらたく)という人物。
出身大学がムサビ。
芸大を出てるから?絵は相当に上手いと思わせるモノだと思う。
世界観について
世界観はモロに宮﨑駿ファンだろうなと感じる世界観。あとファイナルファンタジーっぽさもある。
内容は設定の細かさはあるが難しいモノではなく読みやすいし、また内容もおもしろいと思う。
乗組員たちのキャラ設定も最初からしっかりと固まっていて読んでいて安定感もあって良い。
コチラは短い宣伝の動画だが少しでも雰囲気が伝わるといいなと思い貼っておく。
空挺ドラゴンズ 一巻の簡単な内容と感想
一巻の表紙にいきなり龍が出ているが、この我々がよく見るデザインの龍は全然出てこない。
読み出して数ページで龍が初登場した時は頭が「?????」となった。
はっきり言って表紙の龍(よくある爬虫類的デザインの龍)は出てこない。
明らかに龍のデザインの創作っぷりが凄い。そして新鮮だと思った。
こんな風に龍を描いた漫画は他にないだろう。あっナメック星の神龍は龍か!?
さて龍のデザインについては置いといて、内容の方は読み進めると、龍捕り(おろちとり)=我々のイメージの捕鯨と思っていいんだな?となっていくように最初物語が始まる。
まず、龍を捉える方法は槍に銛を打ち込んで仕留めた後に曳航して行く。
そして、龍は余すことなく人間に使われ食料や工芸品、そして油などに加工される。
これはまさに捕鯨と一緒。
細かい設定までまさにクジラの利用法と一緒で作者は捕鯨について丹念に調べたんだろうなと思わせる部分は多い。
また、クジラ料理ならぬ龍料理についても事細かく解説があり、まさにその描写はグルメ漫画といった感じだ。
メインキャラはタキタという少しドジそうな女子。
そして、龍を食べる事が大好きなミカという男。この二人がメインでストーリーが動いている。
といっても、一巻の時点ではストーリー性はそんなに無く本当に龍を獲って料理して食う!といった感じ。
なんか表紙の感じからして、ハードな展開でも待ち構えていそうだったが、そんな事はまったくなく、気楽な内容だった。
ファンタジーが苦手な私でも特に拒否反応を起こす事無く読めたのでファンタジーが苦手な人も読める内容だと思う。
空挺ドラゴンズ 2巻の簡単な内容と感想
まずは2巻のあらすじ・・
空を旅する捕龍船『クィン・ザザ号』は、有数の港町・クオーン市に到着。
乗組員たちは船を降り、久々の地上を満喫している。
そんな折、港に停泊中の船に捕らえられていた1匹の龍が突如暴れ出した!乗組員は総力をあげて捕獲に挑むが、龍は巨大でかなり手強い——。
一行は龍を捕まえ、食べることができるのか!?公式サイトより引用
海の船乗りと同じく、陸に降りれば乗組員達はハメを外す。
2巻ではこの世界での地上の暮らしなどがよく分かる。
龍の皮を使った工芸品なども出て来て、作られる過程も作者が入念に書いていて面白いと思った。
また、船がドックに入ったこともあり船の設定も細かな部分まで書いてあって良い。
もちろん一巻に引き続き料理のレシピの説明も細かい。
これらの細かい設定はファンタジーといえど説得力を持たしてくれるのでとてもいい効果だと思う。
ストーリーの方は乗組員のちょっと頭でっかちなキャラ、ジローの淡い恋心が軸になっている。
最初は筆おろしに連れて行かれたはずなんだが・・
あと巻末の捕龍の装備の説明があるが、どこまでも細かく設定されているのだなといったところ。
空挺ドラゴンズ 3巻の簡単な内容と感想
空を旅する捕龍船『クィン・ザザ号』。
クオーン市を離れ、次の港に向かって旅を続ける彼らの前に、小型龍の群れが。
食料も尽きそうな船にとっては実りの群れ!
勢い勇んで狩りをしていたその時、誤ってタキタが上空から落ちてしまう。
九死に一生を得たタキタが目を覚ますと、そこには龍の赤ちゃんと、猟師・アスケラが……。公式サイトより
龍の生体を掘り下げたこの3巻。
いよいよ話も盛り上がってきそうな感じ。
グルメに関してのウンチク等は相変わらずだけど、この3巻はストーリーが面白かった。
また龍の赤ちゃんがタキタになつき甲斐甲斐しく世話するあたりは映画のグースのようである。
ただ少しちがうのは
「次に大きくなったら獲ってやるから、それまで誰にも食べられるちゃいけない」
というセリフ。
この言葉は残酷なようでいて温かい。
また、共にタキタと共に地上に落ちてしまった龍を地上で屠殺をする際の
「うまく捕ってやれなくてゴメン」というセリフも猟をするものならでは言葉。
狩猟者たちの食べる事を通しての命のリレーに対する精神の描写もいい。
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