ゴールデンゴールドは間違いなくおもしろい。
理由は堀尾省太だから!と言ってピーンと来る人は少ないかもしれない。
前作の刻刻は間違いのない名作。
ちなみに刻々はアニメ化も決定している(2018年の1月より放送予定)
刻刻は、あの水木しげる氏が80点を付けたと言われる作品である(生前の水木氏の中では連載当時の最高点である)
現在連載中のゴールデンゴールドも水木しげるが生きていたら、80点以上つけるであろう名作。
今日は、そんなゴールデンゴールドを紹介したいと思う。
ゴールデンゴールドはこんな漫画
ゴールデンゴールドは講談社より出版されていて、連載雑誌はモーニング・ツー。
この漫画のジャンルをなんというのか迷う所だがミステリー?ファンタジー?
しかし、出てくるキャラのせいか、ミステリー感もファンタジー感もやや薄い。
で、こちらがそのキャラクターの風貌。
こいつである。このフクノカミというキャラクターが物語の発端となり物語は始まる。
ここから、あれよあれよと物語は不可思議な展開が待ち受ける訳である。
あらすじ
福の神伝説が残る島・寧島で暮らす中2の少女、早坂琉花。ある日、海辺で見つけた奇妙な置物を持ち帰った彼女は、ある「願い」を込めて、それを山の中の祠に置く。すると、彼女の目の前には、“フクノカミ”によく似た異形が現れた――。幼なじみを繋ぎ止めるため、少女が抱いた小さな願いが、この島を欲望まみれにすることになる。
AMAZONより引用
少し補足すると寧島とは瀬戸内海の架空の島。
主人公の早坂は直感(のようなもの)が強く他人の心の機微に聡く、島の外(内地)では学校生活に馴染めなかった。
そして物語の中では両親とは離れ、祖母の住む寧島で暮らし中学に通っている。
島の中で好きな男子もいるが、その男子は卒業すると大阪に行ってしまう。
早坂はどうにか大阪行きを引き留めようと思案している時に海辺で不思議(はっきりいって気持ち悪い)な彫刻に出会う。
そして、その彫刻に知らぬ間に自分の愚痴にも似た願い事伝えてしまうハメになるのだが・・・
世界観はこんな雰囲気
穏やかな、いかにも瀬戸内の島といった感じ。話にフクノカミが出てこなければ多感な少女の甘酸っぱい恋の話になりそうな感じだ。
しかし、このフクノカミにより島の人々は欲求と幸福と競争心があぶり出される(操られていると言っても良い)。
しかし、どことなく雰囲気はドロドロはせず何かが冷静。
このあたりを説明するのが難しいのだが人間描写の巧みさは前作の刻刻でも堀尾省太が得意とした部分。
個人的な意見だが客観的に自分を見れるキャラが多く出てくる気がする。
ちなみに前作の刻刻を読んでいない人にも分かりやすくいうと、どことなく刻刻と寄生獣が似ているという意見がよくある。
これはキャラたちの思考がセリフに淡々と書いてある部分が原因ではなかろうか?と私は思う。
ストーリーのテンポや伏線
ストーリーのテンポは今のところ(現在4巻まで)非常に良い。
変に話が間延びする事もなくフクノカミの奇っ怪な生体がおもしろいし、登場するキャラもリアルな人間像が描かれている。
また、まだまだ謎の部分も多く、フクノカミが何をしようとしているのか?いや、こいつは本当に福の神なのか?という部分がミステリアスで続きがどんどん気になっていく。
何よりフクノカミのルックスが絶妙に気持ち悪くて可愛らしい(キモカワ)。
感想
まだ未完ながら非常に面白い。
久しぶりにおもしろすぎて完結が待ち遠しい漫画に出会ったと思った。
福の神の力も利用しようとする打算的なキャラも出てきたり、島全体がおかしくなっていく現状をどうにか打破しようと画策する主人公達も良い。
そして最もストーリーの上手さを感じるのはなんと言っても伏線の貼り方。
福の神はどんどん不思議なチカラが発揮されていくが、それに合わせて謎解きも深まるといったところだ。
不思議なチカラの解明が少しづつ進むのは、前作の刻刻にもある設定だ。
が、ゴールデンゴールドの場合は現実世界のささやかな人間性の変化の中にも謎解きが隠されているのが特徴的だと思う。
気づかないくらいのキャラの性格の変化、これを描けるのが堀尾省太の上手さだ。
本当に人間描写は他に類のない上手さだと思う。(もちろん設定の上手さもあるのだけど)
マトメ
先入観なく読んだほうが絶対に面白いと思う。
本当にストーリーが人を引き込むモノがある。
難解な設定もないし牧歌的な島でおこる摩訶不思議。エンターテーメント性も高くつらつらと読めてしまうが、なんか内容は濃い。
この言いようの無い面白さや、奇っ怪な感じは水木しげるがいかにも好きかもしれない。
水木氏が生きていれば必ずや前作(刻刻)以上の点を付けていただろう。
第一話はこちらの公式サイトから無料で読めるのでまずは読んでみるといいだろう。
また2018本屋大賞のノミネート作品となったが話の展開はまだまだこれからだが、しばらくの間は注目作品であることは間違いないだろう。